ポーラ美術館-MATISSE

ポーラ美術館を訪れたかった理由…正直に言いますと、「コレを観たかったから」と言っても過言でありません。そして、この1点を観ることが出来て、それだけでも箱根に行った甲斐があるというものであります。非常に興奮しました。

アンリ・マティス!「リュート」!!

マティスは親方が好きな画家のうちの一人です。

私は修行を始めた頃から、親方にマティスに関する色々な話を聞いていました。マティスに関する図録や書籍なども工房にあるので、そちらも読んでいます。

それでも、マティスの作品は分からない事が多いです。色については図録では再現出来ていないところが多くあるらしく…「本物の偉大さというものは本物を観てみないと分からない。」と親方にも言われており…「ま、俺はまとめて沢山観たことあるけどね。」と親方に自慢され…!羨ましい!

国立近代美術館で「ルネ、緑のハーモニー」を観たことはあるのですが、それだけでは情報が足りず…次の機会を狙っていたのですが、今回念願叶って「リュート」を観ることが出来ました。

まず、全体で観た時のこのマティス作品の圧倒的存在感…!

この絵の赤のインパクトが凄まじいので、「原色」と感じてしまいそうになりますが、よく観ていくと色の濁らせ方が絶妙で、絵の具の色そのまま…という事はなく色の整理がきちんとされているからそういう風に感じてしまうだけ。とても複雑な色でした。

それにしても噂通り「塗りが雑」笑。

これは親方から事前に聞いていたので、「なるほど」と思いましたが、何も知らずに観ていたら戸惑っていたかもしれません。

しかし、この筆跡や塗りムラ・塗り残しなどは絶対に必要で、意図的にそのように制作されている事が分かります。フォリア作品のロウムラ加工は、マティスの作品の筆跡や塗りムラ・塗り残しが作品全体に及ぼす効果を染めものの技法に落とし込んで取り入れたものなのだな…と感じました。

日本人なので(?)塗り残しやムラがあるとキレイに塗りたくなりますし、中途半端に見える状態で終わらせるということも怖いです。しかし、作品を遠くから全体を観た時に、その筆跡・塗りムラ・塗り残し…などのノイズが絶対的に必要であり、重要であるという事が分かります。「必要である」「今この段階がベストである」と判断する力…というのは、作品制作において、とても重要な事で、とても難しい事です。

(キレイにまとめすぎたものはメリハリがなく面白くないものになることが多いように感じます。かと言って、ただ単に基礎がない下手で雑なものは論外ですし…匙加減が非常に難しいです。)

スカートの唐突な黒の縦の線や面で塗られた薄い紫色(?)も不思議ですが、全体で観るとそれが無いと逆に変です。そのスカートの下の縁にはテーブルの脚の色やリュートと同じベージュ色が引っ掛けてあります。

スカートの白も、実際には白汚しのように薄い複雑な色で塗り分けられています。(背景の壁紙や床の絨毯の文様の白く見えるところも同様です。)白に見えるけど白でない…その仕事のおかげで実際の白がより際立っています。

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「如何に親方がマティスから学んでいるか分かるであろう」と親方に言われましたが、本当にその通りでした。。。可能であれば、次回は親方の解説付きで実物のマティス作品をまとめて鑑賞したいです。(でも、まとめてだとパンクしてしまうかもしれないので、良品数枚でも良いのかも…。)

まだまだ分からない事の方が多いですが、もっと色々なマティス作品を観たいと強く感じました。

次の機会までに、今よりも更に創作者として成長して、今回気がつけなかった事も、次回には感じられるように精進していきたいと思います!